こんなふうに思ったことありませんか?
経済学って難しい単語ばっかりで、よくわからないですよね。もっとわかりやすい言葉で説明してよ!って感じです。
そこで今回は、できるだけ簡単な表現や具体例を用いながら、ミクロ経済学とマクロ経済学について解説します。
これから経済学を学ぼうとしている人は、経済学の基礎とも言えるこの2つを知っておきましょう。
ミクロとマクロの2つの考え方を理解することで、「経済学的なものの見方」が身につきますよ。
ミクロ・マクロ経済学とは?
ミクロ経済学とマクロ経済学、この2つの概念について説明します。
経済学とは簡単に言うと、「効率の良さを追求する学問」です。
ものすごーくざっくり言うと、
ミクロ経済学とは、家計や企業を対象にして経済活動を分析する学問。
マクロ経済学とは、国民全体の経済の動きを分析する学問。
こんな感じですね。
もう少し詳しく説明します。
ミクロ経済学とは?
ミクロ経済学では、家計や企業など小さな単位が分析対象となります。
たとえば、家計であれば
「今月使えるお金はこれくらいだから、○○円は食費で、○○円は子どもの習い事、○○円は貯金して…」
みたいな感じで、決まった予算の範囲内で最適な行動をしようとします。
企業であれば従業員の数や給料を調整したり、生産体制を整えたりすることで「儲け」を最大化するような行動をします。
このように、小さな経済主体が最適な行動をすることを前提として「ある個別の市場ではどのような経済活動が行われているか」を分析したり、「それぞれの産業の間の関連」を考えたりするのがミクロ経済学です。
マクロ経済学とは?
これに対してマクロ経済学では、国民全体の経済の動きに注目します。
国全体で景気はどう変動するか、経済成長はどの程度実現するか、失業やデフレはどう克服できるか、世界金融危機はなぜ生じるかなど、一歩引いた視点から経済活動を分析します。
ミクロ経済学とマクロ経済学の違い
ミクロ経済学とマクロ経済学の違いについて解説します。
アダム・スミスとジョン・メイナード・ケインズ。この二人の経済学者の考えがポイントです。
ミクロ経済は自由放任
ミクロ経済学はアダム・スミスの考えを基礎とする学問。
アダム・スミスといえば、「神の見えざる手」で有名ですよね。
【神の見えざる手とは?】
個別投資家の行動が自らに係る資産運用において安全かつ効率的であろうとすることが、結果的に、あたかも「見えざる手」に導かれるかの様に、全体としての効率的な投資を実現し、経済を成長させること
(Wikipediaより)
ミクロ経済学では、「自由放任」がキーワードとなります。
消費者と生産者で自由に経済活動を行ってもらい、必要があれば政府が介入するといった感じ。
ミクロ経済学では、売る人と買う人の利益が最大化することを目標とします。
自動車を例に見てみましょう。
「乗り心地もよく買ってよかった!」(買う人の利益:大)
これが理想的。効率的な市場と言えます。一方で、
車が売れる(売る人の利益:大)
「欠陥品だった…」(買う人の利益:×)
これだと、「売る人の利益(販売額)+買う人の利益(満足度)」の合計は小さくなってしまうので、効率的な市場とは言えません。
つまり、消費者と生産者がお互いにwinwinの関係になることをミクロ経済学では効率的だと判断します。
効率的でない市場には政府が税金をかけたり、補助金を出したりすることで調整する必要があると考えます。
マクロ経済は政府介入
マクロ経済学はジョン・メイナード・ケインズの考えを基礎とする学問。
彼は、政府が積極的に市場に介入することで景気を回復させる必要があると考えました。
- 政府が市場に税金をかけたり公共事業を行ったりする
- 新たな需要をつくることで、雇用を生み出す
- 国民の給料がアップし、生活が豊かになる
- 国民が積極的にお金を使うようになる
- 税収入が増えて、国の借金も返せる
理論的には政府の積極的な介入により、景気は上向くはず。
しかし実際はそんなに単純な問題ではありません。
- 人手不足
- 給料が増えても貯金してしまう
さまざまな要因が絡み合っているので、政府が介入したからといって上手くいくとは限りません。
このように、ミクロとマクロ、どっちが良いとか悪いとかは一概に言えません。
経済の流れを読み、より良い未来を作るためには、2つの視点を柔軟に使いこなすことが大切。
次は、「アベノミクス」と「コロナショック」を例にして、ミクロとマクロの2つの視点をどのように使えばいいか紹介します。
ミクロ・マクロ経済学2つの視点で流れを読む
ある一つの産業を二つの視点から見てみると、新たな発見がありますよ。
全体で見ると景気が悪化しているように見えても、部分的に見ると景気が良くなっている産業もあるので、ミクロとマクロ両方の視点を持つことが重要。
アベノミクスはマクロ経済学的な考え方
アベノミクスはどちらかというとマクロ経済学的な考え方。
政府が積極的に市場に介入することで、景気は回復するはずだと考えています。
金融緩和や赤字国債発行、公共事業への支出などを積極的に行い、国民全体の給料アップを狙います。
経済的に余裕のできた国民にもっとたくさんお金を使ってもらい、経済活動を活発にしようという作戦。
国全体で見れば一時的に景気は上向いたものの、中小企業や世帯収入の少ない家庭からは不満の声もあがっています。
このように、マクロな視点で見ると回復したように見えても、ミクロな視点で見るとまだまだ改善の余地があるということもあります。
コロナで伸びた産業もある
2020年現在、世界中がコロナウイルスという脅威と戦っています。
コロナによる経済的損失(コロナショック)は、2008年のリーマンショック(国際金融危機)を超えるほどの被害と言われるほど。
【リーマンショックとは?】
2008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングス(Lehman Brothers Holdings Inc.)が経営破綻したことに端を発して、連鎖的に世界規模の金融危機が発生した事象を総括的によぶ通称
(Wikipediaより)
しかし中には、マスク業界やオンライン学習業界など、売上が伸びている産業も少なくありません。
マクロで見ると被害は大きいですが、ミクロで見ると利益が増えた分野もあります。
豊かなところから貧しいところへ富を流すにはどうしたらいいか?これを考えるのが、経済学の醍醐味であり、難しいところでもあります。
コロナショックを乗り切るには柔軟な視点が必要
2020年4月の時点ではワクチンも開発されておらず、終息の目処は立っていません。
今後の世界経済がどのように変化していくかは、はっきり言って誰にも分からないというのが現状です。
そんな時代だからこそ、一人一人が経済の流れを読み、柔軟に対応していく力をつけるべきではないかと思います。
世界をより正確に見るための第一歩として、今回紹介した「マクロ経済」「ミクロ経済」この2つの考え方を覚えておきましょう。
では、以上です!